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【話の肖像画】競泳コーチ・久世由美子(5)世界で視野を広げる

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【話の肖像画】
競泳コーチ・久世由美子(5)世界で視野を広げる

競泳コーチ・久世由美子さん(西沢綾里撮影) 競泳コーチ・久世由美子さん(西沢綾里撮影)

 〈宮崎の25メートルプールから五輪メダリストを育て上げた。周囲に刺激がない環境だったからこそ、世界に目を向ける重要性を知った〉

 私の宝物は松田丈志との思い出がびっしり詰まった250冊を超える練習ノートです。練習メニューやタイム、体調面など些細(ささい)なことも克明に記していて、あるコーチに見せてほしいと頼まれたときに、「アホなことを書いているので見られたら困ります」と断ったほどです。自分の気持ちをノートにぶつける内容が多かったように思います。

 高校時代、松田の記録が伸び悩んだ時期がありました。そこで私自身の視野も広げるために、当時1500メートル自由形の世界王者だったグラント・ハケットがいる豪州の水泳チームへ行き、指導を受けようと一念発起しました。ちょうど2004年アテネ五輪が控えていて、先方のコーチには断られたのですが、押しかけるように向かいました。英語ができない私たちが練習場の入り口で「プリーズ、プリーズ」と必死に頭を下げ続けると、相手は根負けするような形で、3週間受け入れてくれました。

 ハケットのコーチは長距離選手の指導者としては珍しく技術指導が細かくて、スピード練習の量も豊富でした。地方に閉じ籠もっていては味わえない体験で、この時にハケットの記録や心拍数まで書き留めたノートが私の原点であり、どこへ行くときにも持ち歩いていました。

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