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【話の肖像画】北海道・浜中町農協組合長 石橋栄紀(5)組織ではなく地域を守る

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【話の肖像画】
北海道・浜中町農協組合長 石橋栄紀(5)組織ではなく地域を守る

以前は町内を愛車で走り回っていた =平成16年ごろ(本人提供) 以前は町内を愛車で走り回っていた =平成16年ごろ(本人提供)

 〈農業、漁業など第1次産業の後継者不足はどこも深刻だが、酪農の町である北海道浜中町はちょっと違う。全国から新規就農者の応募がある〉

 昭和50年ごろから離農者が続出し、10年で400戸近くあった酪農家が300戸を切るまでに減ってしまった。減産計画で先行きは不安定のうえ、少子高齢化。浜中の主な産業の酪農ですが、このままでは消滅してしまうという危機感を持ちました。

 このため、57年にできた離農者の農場を貸し付ける道の「農場リース事業制度」を活用して新規就農者を迎えようと組合の理事会で提案しましたが、「どこの馬の骨か分からない者は入れたくない」と他の役員の大反対に遭いました。反対の役員の家に酒を持っていって飲みながら説得しました。

 平成3年には、農協の出資で自前の研修牧場を整備しました。今では同様の取り組みを行う地域も少なくないですが、当時は全国初の取り組みです。全国から応募があった。全く農作業の経験がなくても3年間で一人前にする。関西の人が多いですね。経済観念があり、東京の人以上に牧場風景への憧れが強い。

 41戸が新規就農しました。今や彼らが町の酪農家の2割を超えるまでになっています。新規就農者の組合役員も誕生している。

 昔は農家の子供はそのまま跡継ぎになれましたが、今はそれだけでは無理。地に足が着いた経営者でなければやっていけない。財務諸表がきちんと読めないと駄目なんです。牛を飼うのはありとあらゆる能力を要求される。

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