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柳幸典「ワンダリング・ポジション」 知的で挑発的、変幻自在の30年

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柳幸典「ワンダリング・ポジション」 知的で挑発的、変幻自在の30年

「アント・ファーム」シリーズの作品(いずれも中川達彦撮影) 「アント・ファーム」シリーズの作品(いずれも中川達彦撮影)

 世界的に活躍する現代美術家、柳幸典(57)の個展「ワンダリング・ポジション」が、横浜の「BankART Studio NYK」で開催されている。多くの国際美術展に参加し、作品はニューヨーク近代美術館にも収蔵され高い評価を得ている柳。本展では、既成概念にとらわれない自由な発想で制作し続けてきた30年に及ぶ活動の軌跡を見ることができる。(渋沢和彦)

                   

 柳幸典の名を世界的にしたのが「ザ・ワールドフラッグ・アント・ファーム」だ。プラスチック・ボックスの中に色砂で万国旗をデザイン。旗は上下左右とチューブで繋(つな)がり、中に放たれた蟻(あり)が砂を崩して自由に動きまわる。時の経過とともに旗の姿は変容していき、どこの国か分からないほど姿を変えてしまう国旗もある。

 この作品は、1993年のベネチア・ビエンナーレで新人の登竜門ともなっているアペルト部門に出品され、一躍脚光を浴びることとなった。

 「布や紙の国旗であっても権威がある。ナショナリズムの象徴である旗は蟻によって形を崩されてしまう。私の意思と関係なく権威を破壊する」と柳は言い、人間が築いた国境に対するアイロニーをしのばせる。現代美術に詳しい東京国立近代美術館の大谷省吾美術課長は「自由なイメージで風穴を開ける作品だった」と回想する。

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