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【話の肖像画】写真家・篠山紀信(4)「彫刻ならオッパイや性器が見えていてもいいわけでしょ。芸術だから。怪しいよね、芸術って」

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【話の肖像画】
写真家・篠山紀信(4)「彫刻ならオッパイや性器が見えていてもいいわけでしょ。芸術だから。怪しいよね、芸術って」

カール・ミレス「太陽の輝き」2015年 (篠山紀信撮影) カール・ミレス「太陽の輝き」2015年 (篠山紀信撮影)

 〈昨秋から彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)に幾度となく通っては、野外彫刻を撮ってきた。その作品群を同館で開催中の個展「KISHIN meets ART」で披露している。生身の人間ではなく、動かない彫刻が被写体だ〉

 動かないと思うでしょ? ところが彫刻は動いているんですよ。

 昔、(写真家の)土門拳さんに「篠山君、仏像は走っているんだよ!」と言われたことがある。「パァーッと追いかけてつかまえるんだよ」と。何なのかなぁと初めは思ったけど、確かにそうなんですよ。

 仏像が伽藍(がらん)に立っていても、お堂の前に敷き詰めた白石に光が反射して、仏像の顔に当たる。雲がふっと陰れば仏像の顔も陰る。一瞬一瞬よく見たら、止まっているものなんてないんです。

 箱根の野外彫刻も、訪れるたびに違って見えた。春夏秋冬、朝昼晩で変化するし、風も吹けば霧も出る。山の天気は変わりやすいので、滝のように雨が降ったかと思えば急に日が差して、濡(ぬ)れていたものを黄金のように輝かせる。彫刻たちは本当に生き生きしていて、すごい勢いで動いている。それを僕はバチッとファインダー越しにつかまえる。全然飽きない。

 絵はがきみたいな作品写真だとちっとも面白くないでしょ。美術館の学芸員に僕が撮ったものを見せたら、「こんなの初めて見た」「一体どこで撮ったんですか」と驚くんですよ。毎日これらの彫刻を見ている人たちが、ですよ。

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