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【正論】反対の流派を排斥する教授、人事を決める有力者の意向…日本の研究環境に不安はないか 精神科医・国際医療福祉大学教授 和田秀樹

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【正論】
反対の流派を排斥する教授、人事を決める有力者の意向…日本の研究環境に不安はないか 精神科医・国際医療福祉大学教授 和田秀樹

和田秀樹氏 和田秀樹氏

 がんの放置療法(これにしても断罪するだけでなく、本当に危険なのか大規模調査などで研究すべきだ)で物議を醸している近藤誠氏も、医学部で異端児扱いされたきっかけは真っ当なものだった。

 ある段階までの乳がんは、乳房を全摘しなくても、がんだけを取り除き、その後に放射線をあてれば5年生存率が変わらないということを発表したら、当時の外科の権威たちの大反発を受けた。最も若くして講師になったのに、他大学も含め教授の道は閉ざされたという。それだけならいいが、その術式を行うと権威たちに睨(にら)まれるので、ほとんどそれが普及せず、日本で標準術式になったのは論文発表の15年後、つまり権威たちがすべて引退してからのことだ。

 ≪教授の流派に支配される世界≫

 精神医学の世界では、薬物などを使って脳を治療するという考え方とカウンセリングなどで心を治療する精神療法という考え方があるが、自分と反対の流派の人間を排斥する教授もいる。

 東北大学では、薬物療法を支持する精神科教授が在任していた15年間、一つとして、精神療法の論文に博士号が与えられなかった。この教授は東北全体の人事や精神医療に影響力をもっていたため、東日本大震災の際に、心のケアができる人材不足が問題となったことがあった。

 私もこの教授に、日本人では唯一、米国精神分析の主流派・自己心理学の年間優秀論文集に掲載された論文を、その年の100を超える博士論文のなかでただ一つ不合格論文にされたことがある。

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