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【話の肖像画】写真家・篠山紀信(3)「こうしたヌード撮影は1960年代からやってきて一度も警察が来たことはなかったのに…」

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写真家・篠山紀信(3)「こうしたヌード撮影は1960年代からやってきて一度も警察が来たことはなかったのに…」

篠山紀信氏(春名中撮影) 篠山紀信氏(春名中撮影)

 あのヌード写真は劣情を刺激するためというより、東京という都市を表現するためのものだった。普通、街の中にヌードは有り得ない。でも有り得ないものが存在したとき、人間はパッと覚醒し、東京はこういう都市だったんだと直感的に思い知る。そういう狙いだったんだけど…。こうしたヌード撮影は僕、1960年代からずっとやってきて一度も警察が来たことはなかったのに、やはり時代の変化でしょうね。

 〈世の風潮や価値観とともに、写真のテクノロジーも大きく変化している〉

 今の時代は今のカメラで撮るのが一番いいと思っているんですよ。僕の場合、一部を除いて全部デジカメです。雑誌「ブルータス」で長年やっている連載「人間関係」だけは、初回からずっと8×10の大判カメラで撮っている。フィルムが製造中止になったり現像所がなくなったりする中、それでも「フィルムじゃなくちゃ」と言う人はいる。僕に言わせると、それは写真家というより写真愛好家だね。プロはスピードが大切だから。

 一方、デジタルの時代、写真の修正が自由にできるようになって思うことはある。僕みたいにフィルムで写真を覚えた人に比べると、デジタルから始めた人は、撮っているときの緊張感が乏しいね。失敗しても後でどうにかなるわ、と。(原則的に修正が許されない)新聞社のカメラマンとか、僕みたいなのは絶滅危惧種だよ(笑)。

 誰もが自撮りしてどんどん発信していく時代、写真そのものも変わっていくでしょう。でも、被写体をいつ撮るか、どこを撮るか、どう表現するかはカメラは考えてくれない。でもそこが、写真の大事なところなんです。(聞き手 黒沢綾子)

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