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【世界文化賞】受賞者代表のギドン・クレーメル氏(音楽部門)の謝辞「自らの信じる価値に忠実であろうとして戦ってきた」

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【世界文化賞】
受賞者代表のギドン・クレーメル氏(音楽部門)の謝辞「自らの信じる価値に忠実であろうとして戦ってきた」

第28回高松宮殿下記念世界文化賞であいさつするギドン・クレーメル氏。後列は左からシンディ・シャーマン氏、アネット・メサジェ氏、マーティン・スコセッシ氏=18日午後、東京・元赤坂の明治記念館(三尾郁恵撮影) 第28回高松宮殿下記念世界文化賞であいさつするギドン・クレーメル氏。後列は左からシンディ・シャーマン氏、アネット・メサジェ氏、マーティン・スコセッシ氏=18日午後、東京・元赤坂の明治記念館(三尾郁恵撮影)

 われわれは皆、この世に生を受け、この世を去っていきます。その間に創り出したものを後世に残していきます。芸術は恐らく、われわれよりも長く生き、残っていくものだと思います。素晴らしいものであれば、永遠に残るものとなると思います。ある意味では、芸術は、政治とは違って永遠の命を持つものだといえます。

 だからといって、不公正や嘘に目をつむっていていいわけではありません。昨今、芸術の産業全体がこれまでにないほど市場志向なってきています。価値が金、収入、統計数字の尺度で測られてしまっています。しばしば、われわれは、芸術の主たる目的は「人を楽しませることだ」と考えたい誘惑に駆られます。過去、および現在の世界文化賞の受賞者の中に、その誘惑にあらがうことができた芸術家が含まれているということは、本当にすがすがしいことです。

 真の芸術家は流行の波にあらがって泳ぎ、人の魂の深い水の中に飛び込んでいき、不可能なことを実現するというチャレンジに立ち向かうことが求められています。

 偉大なるベートーベンの後援者たちは、当時、大人気だったロッシーニとは様式の違う楽曲の作曲をすることを求めました。

 現在の芸術の後援者、あるいはスポンサーのどのくらいの人たちがそのように見て、奨励していることでありましょうか。おそらく非常にその数は少ないでしょう。「どのくらいの売り上げになるか」という数字が、真の創造性を発揮しようという試みに影を落としてしまっています。

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