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【至誠の人 揖取素彦物語(61)】中村紀雄 「奥さまの話が聞きてえ」

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【至誠の人 揖取素彦物語(61)】
中村紀雄 「奥さまの話が聞きてえ」

 「俺は、心というものを感じたことがなかった。ところが今、俺にも何かを受け入れる心というものがあるのかもしれねえと思うのでございます。あっしのような悪党に人間の心があるのでごぜえやしょうか。阿弥陀さまとやらは、こんな男にも目をかけてくれるんでごぜえやしょうか」

 「又蔵殿、あなたがそういう気持ちになったことこそ、阿弥陀さまが救いの手をのばした印なのです。阿弥陀さまは罪深き人、つまり煩悩の深い人こそ極楽へ行けると申しておられる。人間にはみな心がある。殺したい、犯したい、物を盗りたい、そういう欲望で心の存在が分からなくなっているだけです。阿弥陀さまは光を差し入れ心を甦(よみがえ)らせてくれる。ナムアミダブツと唱えるだけで」

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