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【文芸時評10月号】「現代文学にはもう見切りをつけました」とメッセージ放つ「群像」の企画 早稲田大学教授・石原千秋 

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【文芸時評10月号】
「現代文学にはもう見切りをつけました」とメッセージ放つ「群像」の企画 早稲田大学教授・石原千秋 

石原千秋氏 石原千秋氏

 「群像」の「創刊70周年記念号」を見て驚いた。「群像短編名作選」と銘打って、かつて「群像」誌面を飾った54篇の短編小説を再録しているのである。この記念号が再録でいいのだろうか。それは講談社文芸文庫の仕事だろう。70周年記念号がいつになるかははるか前からわかっていたのだから、原稿料を大盤振る舞いしてでも、文学史に残すような意気込みで数百枚を超える長編を企画してほしかった。もう文学にそれだけの力はないと言うべきか。この再録企画からは「現代文学にはもう見切りをつけました」というメッセージしか聞こえてこない。

 それは、若手の作家にもよくわかっているらしい。「文学界」の巻末のコラムが「師弟関係の復興」(相馬悠々)と題して、最近は若手作家の交流が盛んだと伝えている。若手作家の危機感はよくわかる。ただ、このコラムは〈作家の交流というと「第三の新人」の吉行淳之介を中心とした遊び仲間などを思い出すが〉とあって、少し不安にもなった。

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