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「認知症の人に優しい図書館」 まずは、知ることから

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「認知症の人に優しい図書館」 まずは、知ることから

神奈川県図書館協会の研修会では、コミュニケーション実習も行われた。1人が幾何学模様を言葉で伝え、もう1人が再現する。お互いの抱く像が違うと認識することが、対応力向上の一歩という=横浜市 神奈川県図書館協会の研修会では、コミュニケーション実習も行われた。1人が幾何学模様を言葉で伝え、もう1人が再現する。お互いの抱く像が違うと認識することが、対応力向上の一歩という=横浜市

 ■慣れ親しんだ環境が大事

 認知症の人にとって大切なのは、本の内容を理解できるかどうかよりも、生活の継続かもしれない。

 作家の中島京子さんは、父親が認知症になった経験を通して、認知症になっても、人が落ち着くのは、それまでの人生で慣れ親しんだ環境だと考えている。

 昨年出版した小説「長いお別れ」(文芸春秋)の主人公は、アルツハイマー型認知症の元国語教師。外出すれば帰れなくなり、孫の名前も忘れてしまう。だが、「簪(かんざし)」「屠蘇(とそ)」などの難解漢字は容易に読み解き、日中通う「デイサービス」では慣用句の穴埋め問題に喜々として取り組む。

 中島さんは「人はある日突然認知症になって、記憶も情報も飛んで、別人になるわけではない。認知症という病気も、その人が送ってきた人生の延長線上にある感じがする」と言う。

 中島さんの父親は元大学教授。一貫して本に囲まれる生活をしてきて、最後の最後まで活字を目にするのが好きだった。最晩年にも、本が逆さになってはいても、やはり本を手にしていた。「人によって、これがなければ…、というものは違うと思う。けれど、父にとっては、本が並んでいる空間だったり、手に取れる環境であったりが絶対的に必要な気がした。そういうことは、とても大事なことではないかと思う」と話している。

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