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服でたどる「子供観」の変遷

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服でたどる「子供観」の変遷

ラファエル・コラン「エリーズ嬢の肖像」1885年 油彩、カンヴァス 島根県立美術館蔵 ラファエル・コラン「エリーズ嬢の肖像」1885年 油彩、カンヴァス 島根県立美術館蔵

 子供服の歴史とは、「大人が子供をどんな存在として見てきたか」というまなざしの歴史でもある。東京都庭園美術館(港区)で開催中の「こどもとファッション」展は、18~20世紀初頭の貴重な子供服に加え、子供を描いた絵画と版画、写真などを通して“子供観”の変遷をたどる試みだ。

 かわいらしい刺繍(ししゅう)やプリント、体を締め付けず動きやすいシルエットなど、現代の私たちが思い浮かべる子供らしい子供服は、少なくとも18世紀後半まで存在しなかった。成長過程にある女の子もコルセットを着用するなど、子供は“小さく未熟な人”として、単に大人のファッションの縮小版をまとっていたという。

 『エミール』(1762年)を著した仏哲学者、ジャン=ジャック・ルソーの教育思想の影響もあり、徐々に簡素で行動しやすい子供向けの衣服が奨励され、19世紀以降、子供服というジャンルが本格的に成立していく。純粋無垢(むく)な存在として子供を見始めたのもこの頃で、エプロンドレスなど愛らしさを表現したファッションが流行した。

 19世紀半ばに製造された男の子用ドレスも展示されている。魔よけ的な意味があったのだろうか、西洋ではつい100年ほど前まで男の子も幼い頃はドレスを着ていた。

 子供らしさとは、あくまで大人が作ったイメージであり、子供服はその願望のあらわれなのだろう。31日まで。一般1100円。問い合わせは(電)03・5777・8600。

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