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【きょうの人】コンビニ勤務は週3日 「コンビニ人間」で第155回芥川賞に決まった村田沙耶香さん(36)

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【きょうの人】
コンビニ勤務は週3日 「コンビニ人間」で第155回芥川賞に決まった村田沙耶香さん(36)

芥川賞を受賞し、記者会見する村田沙耶香さん=19日午後、東京都千代田区の帝国ホテル(宮崎瑞穂撮影) 芥川賞を受賞し、記者会見する村田沙耶香さん=19日午後、東京都千代田区の帝国ホテル(宮崎瑞穂撮影)

 「奇跡のような感じで、まだ信じられずふわふわしている」。初の候補で芥川賞を射止め、19日の記者会見で喜びをかみしめた。

 受賞作「コンビニ人間」の主人公はコンビニで働く36歳の未婚女性。結婚は? まだバイト?-。「普通」を求める家族や友人に異物扱いされながらも、ずれた言動で突っ走る女性の姿が悲しくも、おかしい。

 自身の実感が底に流れる。学生時代にコンビニのバイトを始め、今も働く。マニュアルを熟読し、仕事に習熟。不器用で人見知りの自分が「初めて世界に溶け込めた感じがした」。一方で、独身でバイトを続ける自分に向けられるまなざしに戸惑うこともあった。

 「冷凍保存していた記憶を引き出すようにして書いた。読んで『(自分は)すごくヘンテコでもいいんだ』と思ってもらえたら」

 法律関係の仕事をしていた父の影響もあって「幼い頃から『本当の本当』が口癖。真実にたどり着く手段として小説があった」。穏やかな風貌ながら、性や家族をめぐる常識に徹底して疑問を突きつけてきた。

 コンビニ勤務は週3日で深夜2時には起きて早朝まで書く。午前8時から午後1時まで店で働き、夕方にまた執筆。この日も仕事あがりだった。「コンビニは空想の世界から引き戻してくれる場。社会と接点があった方が小説が進む」。二足のわらじはまだ続きそうだ。(海老沢類)

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