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【大学ナビ】近大・関学が魅力アピール、就活支援も 「東京拠点」から全国発信

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近大・関学が魅力アピール、就活支援も 「東京拠点」から全国発信

近大の世耕石弘広報部長 近大の世耕石弘広報部長

 その呼び名は「キャンパス」や「センター」「オフィス」などさまざまだが、関東以外に本部をもつ大学が、東京の中心部に開設した事務所の機能を拡充させている。“繁忙期”にある就活のサポートだけではない。全国に向けた情報の発信基地であり、知的空間を創造する場でもある。背景には、少子化や国際化が進み、高等教育をめぐる環境が大きく変わろうとするなか、首都の拠点を通じて「国内外での存在感を高めたい」という大学側の戦略がうかがえる。(関厚夫)

 「志願者数日本一」や「近大マグロ」で知られる近畿大学(大阪府東大阪市)。JR東京駅の目の前にある高層ビル13階のワンフロア全体がその「東京センター」である。就活に関していえば、元一般企業役員のOBや職員が相談に応じるほか、パソコン利用や休憩、荷物預かり、資料閲覧などの便宜を図っている。2年前に東京・四谷から移転して以来、年間の利用者はそれまでの30倍にあたる3千人に達したという。

 「一般に、近畿圏出身の学生たちには地元志向があります。そんな彼らの視野を広げるという意味で、大学として、就活で一度は上京するように声がけをしています」

 近大の世耕石弘広報部長はそう話す。就活支援は東京センターの活動の柱の一つ。それに並ぶのが、関東出身の受験生の“争奪戦”を見据えた広報活動だ。

 今年の一般入試で12万人近い志願者を集めた近大だが、そのうち、関東出身者は約2500人。入学者となると91人となり、全体の1・1%にすぎない。その一方で近畿出身の入学者は74%に上る。

 「人口が減少するなか、入学生の質を維持し、向上してゆくには関西だけでなく、全国の受験生から選ばれる大学にならなければ…。そのためには関東の大学と同じことをやっていては意味がありません。全員が1年間留学する国際学部の開設(今春)や一部24時間利用可能で、約2400席分の自習スペースがある「図書と学びのスペース」(仮称)の建設・整備(来春に完成予定)はその一例です」(世耕部長)

 東京センターに求められているのはまさに、こうした「不断の進化」を全国に発信するためのセンター(中心)の役割だという。

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 JR東京駅に直結する超高層ビル「サピアタワー」。この8~10階には関西や東日本を中心に10ほどの大学がオフィスを構えている。関西学院大学(兵庫県西宮市)の「東京丸の内キャンパス」もその一つである。

 坂田穣・同キャンパス課長によると、起源は平成11年に別の場所に開設された「同窓会東京支部事務所」。だが、後にニュースキャスターとしても知られるようになる村尾信尚氏が東京駐在の教授に就任した15年を転機に、一般市民や卒業生を対象とした生涯学習をはじめとする教育研究分野や就活支援の比重が高まってゆく。今ではそれらが、同窓会活動と並んで東京キャンパスの“3重点機能”を構成している。

 加えて大学側は近年、「第4の機能」を視野に入れている。「関学の東京におけるプレゼンスをより向上させてゆくこと」(坂田課長)だ。具体的には村尾教授を進行役としたシンポジウムやビジネスマン対象のセミナー、研究会の開催である。

 関西の大学の東京事務所にはこうした「知の場つくり」の伝統がある。沖縄返還に尽力した国際政治学者、故・若泉敬は昭和45(1970)年から10年間にわたり、京都産業大学の東京事務所に開設されていた世界問題研究所の所長を務め、後進の育成や研究活動に精魂を傾けた。5年前、入居施設の建て替えにともなって旧事務所が閉鎖されたさい、「お別れの集い」が開かれた。同大によると、OBら20人が参加し、しめやかに恩師・若泉をしのんだという。

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