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【編集者のおすすめ】実態解明が進めば大混乱も『パナマ文書 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』渡邉哲也著

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実態解明が進めば大混乱も『パナマ文書 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』渡邉哲也著

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 5月10日に21万社の法人や関連する個人名が公表され、世界中で大騒ぎとなっているパナマ文書。本書はパナマ文書の正体から、個人や企業、国際情勢に及ぼす影響までをいちはやく分析した一冊です。著者は今後の内容解明により、脱税のみならず違法取引が炙(あぶ)り出される重大性を説きます。

 現在、「テロとの戦い」において、米国はSDNリストという金融制裁対象の個人、法人、国のリストを作成、これら対象者との取引を禁じています。違反した場合、米国企業との取引が不可能となり、金融機関や輸出企業にとってはドルを扱えなくなるため死活問題です。かつて制裁対象国との取引が発覚した仏銀BNPパリバは、米国に1兆円近い制裁金を科されました。

 加えて日本ではテロ3法により、反社会的組織との取引が禁じられています。しかし匿名での法人設立が可能なタックスヘイブンでは、これら反社会的勢力が正体を隠して取引している疑いが指摘されており、今後、パナマ文書により実態解明が進めば、金融制裁対象者と取引していた企業や金融機関は危機的状況に陥ると述べています。

 また、パナマ文書で名前が挙がった英国のキャメロン首相はEU残留を主導していますが、6月のEU離脱を問う国民投票に大きな影響が出そうです。離脱が決定的になれば世界経済は混乱必至と指摘、同文書の国際情勢に与える衝撃にも言及しています。反響も大きく、発売即重版になりました。(徳間書店・1000円+税)

 徳間書店学芸編集部 明石直彦

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