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【解答乱麻】子供の「話の聴き方」変えられたら実りある教育改革となる バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
子供の「話の聴き方」変えられたら実りある教育改革となる バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 その実現のためには「聴くこと」と「話すこと」は表裏一体のものであることを教師が熟知していなければならない。良き聴き手を育てるのには、話し方の指導も重要な意味を持つ。その指導力は教師自身が自分の考えと哲学を磨き、高い伝える力を持つことで初めて得られる。

 日本の学校教育では多くの場合、一言一句、スピーチ原稿を書いて話すよう指導される。だから、スピーチが「書き言葉を読む」か「暗記して話す」ものになる。それでは思いは相手に伝わらない。前者は紙を相手に話しているにすぎず、後者は自分の記憶と対話しているにすぎないからだ。

 目の前の聴き手の心に直接自分の考えや思いを伝えるためには、日頃から整理し練り上げておかねばならない。そのためには常に疑問を持ち自分の知識や体験と関連付け、攻撃的に話を聴くことが必要だ。また「感じたこと・気づいたこと・学んだこと」を反射的に言語化する訓練を積み重ねることも大切だ。

 こうした「聴くこと」「話すこと」の指導は人間教育そのものだ。他者のスピーチに対する反応は、言葉に対する反応であると同時に、人間の心の在り方に対する反応でもある。価値観の異なる多様な意見を受容することができるか。緊張して頭が真っ白になって言葉が出せない仲間をどう応援するか。つらい過去と向き合って発している仲間の真摯(しんし)な言葉をどう受け止めるか。さまざまな心の持ち方と反応の仕方が問われる。成長のためには、誠実な言語空間の共有が必要だ。異なる意見への冷笑や無視による同調圧力が幅をきかせたり、面倒だからと思考停止し、「同じです」としか発言せぬような空間では、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、より高次な自己の考えを確立することはできない。

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