産経ニュース

【話の肖像画】無酸素登山家・小西浩文(4)間一髪の生と「相棒」の死

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
無酸素登山家・小西浩文(4)間一髪の生と「相棒」の死

相棒のロブサン・ザンブーさん(右)と=1996年秋、エベレストのネパール側ベースキャンプ 相棒のロブサン・ザンブーさん(右)と=1996年秋、エベレストのネパール側ベースキャンプ

 〈ヒマラヤでは山岳民族のシェルパが登山をサポートする。1995(平成7)年、8千メートル峰攻略の生涯の相棒と思えたシェルパに出会う〉

 ロブサン・ザンブーは、カンチェンジュンガ(8586メートル)で普通の1・5倍ほどの荷物を担ぎ、体力、技術、精神力いずれも抜群でした。直後には日本人とネパール人の26人が雪崩に巻き込まれたパンガ(4550メートル)で遺体を一緒に回収しました。道中の知り合いに土産物を配って回るなど弱者に優しい愛すべき男で、ぜひ一緒に14座を登りたい、という気持ちになりました。

 翌96年9月、いよいよ2人でエベレストを目指します。各国の登山隊が協力してベースキャンプ(BC、5350メートル)からルート工作をしている最中にアクシデントがありました。前哨戦にとヌプツェを攻略したドイツ隊が高度7千メートル付近で滑落したのです。翌朝、救助活動をしますが、無酸素にこだわる私たちは特に体力を消耗します。このときロブサンはいったんBCまで高度を下げることを提案しましたが、私はそれを却下して、予定通りに進めることにしました。

 翌20日、私は1人で第3キャンプ(7350メートル)に入りました。21日はサウスコル(鞍部(あんぶ)、7900メートル)に設置予定の第4キャンプまでフランス隊がルート工作し、そこに私とロブサンが荷物を持ち上げることになっていました。

「ライフ」のランキング