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【話の肖像画】無酸素登山家・小西浩文(2)8000メートル最年少記録、そしてがん発病

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【話の肖像画】
無酸素登山家・小西浩文(2)8000メートル最年少記録、そしてがん発病

ガッシャーブルムII峰(8035メートル)山頂で小西さんが撮影した登山隊メンバー=1993年夏、パキスタン・中国国境 ガッシャーブルムII峰(8035メートル)山頂で小西さんが撮影した登山隊メンバー=1993年夏、パキスタン・中国国境

 〈20歳で8千メートル峰に初登頂。全14座登頂という目標へ、出だしは上々だった〉

 大学を辞め、バイトをしながら窺(うかが)っていると、好機が転がり込んできました。旧ソ連の7千メートル峰などを目指す日本の公募隊に貯金をはたいて参加すると、隊長から気に入られ、シシャパンマ(8027メートル、中国チベット自治区)行きを誘われました。

 まとまったお金がない若造にはありえない話でした。その分、参加すると延々と先頭で雪を踏み固めさせられたり、ひどい扱いでした。それでも登り切り、1982(昭和57)年10月、20歳と6カ月の日本人8千メートル峰無酸素登頂最年少記録になりました。

 8千メートルは食うか食われるかの世界で、人間の本性がここまで出るのかと愕然(がくぜん)としました。天狗(てんぐ)になりかけていた自分を鍛え直そうと、ラインホルト・メスナー氏もやっていたヨガや瞑想(めいそう)をインドで勉強しました。また、アラスカのデナリ(旧マッキンリー)を登頂したり、キリマンジャロの高度差1800メートルある氷壁を3日かけて登ったりと、比較的低い山でも経験を積みながら、8千メートル峰に挑戦しました。世界最高の登山家になるには、生き残って、なおかつ結果を出す。それだけでした。

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