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ギャンブル依存症問題研究会きょう発足 「日本が疑似カジノ」…成人男子の1割が依存症

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ギャンブル依存症問題研究会きょう発足 「日本が疑似カジノ」…成人男子の1割が依存症

 借金を繰り返し、仕事や家庭を失ったり犯罪に手を染めたりすることもあるパチンコ依存症。実態を明らかにすることで苦しむ人を減らそうと、「ギャンブル依存症問題研究会」が2日、発足する。中心となるのは、ホームレス問題解決への政策提言などを行うNPO法人「ビッグイシュー基金」。同基金の佐野章二理事長(74)は「依存症はホームレスへの入り口であり、自立支援を阻む最後の難関。解決法を探りたい」と話す。(加納裕子)

金盗んでも

 「今日で1年になりました。仲間に感謝し、これからも頑張ります」

 2月下旬、奈良県大和高田市の回復施設「セレニティパークジャパン」。節目の日を迎えた男性2人が約30人の入所者を前に発表していた。全員が近くのグループホームに暮らし、回復プログラムを受けながら依存症からの脱却を目指す。

 大阪府出身の男性(27)は20歳のころからネットゲームにのめり込み、「働きたくない。パチンコで金を稼ごう」と決意。金がなくなると家族の財布から金を取り、「勝って返せばいい」とさらにパチンコに没頭した。約9カ月前にアルバイト先のコンビニから金を盗み、家族に「警察か施設か」と問われて入所。「自分に自信がなくて、バーチャルな世界に逃げていた」と悔やむ。

 スタッフ見習いとして働く手島秀孝さん(40)もパチンコ依存に苦しんだ。消費者金融からの借金を繰り返し、32歳で関東の回復施設に入って一時はパチンコを断ったが、4年ほどで再びのめり込んだ。多額の借金を抱えて「生きることも死ぬこともできない」と追い詰められ、ここにたどりついたという。

 「金が欲しくて身内にひどいことも言った。先のことを考えると不安にもなるけれど、足元を見て生きていく」。手島さんは唇をかみしめた。

政策提言へ

 「アルコール依存症は見た目で分かるが、ギャンブル依存症は一見分からない」とビッグイシュー基金の佐野理事長は語る。

 同基金では昨年10月、ギャンブル依存症をテーマにした報告書を発表。報告書では、ギャンブル依存の割合が成人男性の9・06%(成人女性の1・6%)と諸外国と比べて突出して高く、電子的ゲーム機械の設置台数は世界一だとして「日本全体が疑似カジノ化している」と結論づけた。

 2日に発足する「ギャンブル依存症問題研究会」には、ビッグイシュー基金のほか、回復施設の関係者らが参加。当事者へのヒアリングなどからギャンブル依存の実態を明らかにし、政策提言を行う予定だ。

 研究会に加わるセレニティパークジャパンの三宅隆之代表(41)は「ギャンブル依存は、アルコール依存や薬物依存と同じように自分でコントロールできない病気。健康的に遊べなくなってしまった人には支援が必要だ」と訴える。

業界も対策

 業界でも取り組みを進めている。平成18年には、業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」(全日遊連)が支援し、依存当事者や家族らからの電話相談に応じる「リカバリーサポート・ネットワーク」を設立。パチンコ店内に同ネットを紹介するポスターが貼られるようになった。

 26年9月からは、店舗の宣伝チラシにのめり込みへの注意を促すバナーを入れるように。27年には、全日遊連など14団体でつくる「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」が「安心娯楽宣言」を発表し、ホームページで依存の自己チェック表や、依存から抜け出すための相談機関、医療機関を紹介している。全日遊連広報課は「継続的に対応を続けていきたい」としている。

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