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【書評】『親を送る』井上理津子著

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【書評】
『親を送る』井上理津子著

「親を送る」

 あの人と別れ際に交わした言葉は、なんだっけ-。本書を閉じてしばらく考えた。52歳のとき、なんの予感もないままに相次いで父母を亡くしたノンフィクション作家が自らの体験談をつづる。面白おかしく、そして切なく。心の機微をすくい取る文章で読ませる。たとえば冒頭の母との会話。〈私は、いつも「いいよ」ではなく、「いいけど」と答えてしまう〉。わかるなぁ。そんなふうに、何げなく繰り返している日常が、突然に断ち切られる。いつものやりとりが忘れがたい思い出になる。親しい人を「送る」ことの重みがずしり。(集英社インターナショナル・1500円+税)

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