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【解答乱麻】いじめの温床を醸成せぬ教育 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
いじめの温床を醸成せぬ教育 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 尊厳が「暴力」によって踏みにじられようとするとき、抗(あらが)う「力」と「勇気」が必要だ。「力」で敗れたとしても尊厳を奪われぬ意志を示すことが人の人たる所以(ゆえん)だ。「力」を「暴力」にせぬためには徳を高め、胆力・勇気、自制心や忍耐力を磨いておかねばならない。幼き頃からプリンシプルを確立する教育が必要なのだ。それが「多数者の無気力」や「利己的無関心」に付ける唯一の薬となる。

 「社会生活において、悪の力が本来善よりも強いのではない。悪人の無遠慮な団結力や行動力が、善人の利己的無関心さや孤高を装った卑怯(ひきょう)さに打ち勝つのである」(『心窓去来』)

 こうも書き遺した下村湖人は、中学の校長でもあった。こうした深い人間観と教育哲学が現場の教育者から失われたこともいじめの遠因だ。教育の成果を偏差値や進路という物差しだけで見るのではなく、一人一人の心の育ち方や人格の成長をこそ丹念に見るべきだ。それは表情や態度や言葉に表れる。子供を見る深さは、親や教師の人間観の深さに比例する。真摯(しんし)に学ぶべきは私たち大人なのだ。

                  

【プロフィル】木村貴志

 きむら・たかし Vision&Education,Ltd.代表取締役。バッカーズ寺子屋・バッカーズ九州寺子屋塾長。

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