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【解答乱麻】いじめの温床を醸成せぬ教育 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
いじめの温床を醸成せぬ教育 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 いじめによる自殺が起きる度に、校長たちは言質を取られぬよう官僚的答弁に終始し、担任は体調不良で姿を消し、評論家は学校や親のあり方をここぞとばかり非難する。そしてほとぼりが冷めれば、人々は何事もなかったかのように、見て見ぬふりの日常に戻る。『次郎物語』の作者、下村湖人は、次のような言葉を遺(のこ)した。

 「恐るべきは少数者の暴力である。しかし、一層恐るべきは多数者の無気力である。われわれは、前者が常に後者の温床において育つということを忘れてはならない」(『心窓去来』)。

 私たちは「多数者の無気力」といういじめの温床を醸成せぬ教育をしてきたのであろうか。

 戦後70年にわたって教育に欠けていたのは「プリンシプル」の教育だ。国籍・宗教を問わず人間を人間たらしめるのは、人としての行動規範(プリンシプル)だ。わが国に伝統的にあった「人としての道」を海外に明確に発信したのは、新渡戸稲造の『武士道』だが、その根底に流れている一つが「儒学」の精神だ。幼い頃から五常(仁義礼智信)の徳を養い、五倫の道(父子の親、君臣の義、長幼の序、夫婦の別、朋友(ほうゆう)の信)を身につけ、人格を磨くことが尊ばれた。こうした教育は「素読」や「物語を読むこと」を通して、子供の情緒に沁(し)み込むように教えられていた。

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