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増加する「永代供養墓」 墓の引き継ぎ手いなくても安心

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増加する「永代供養墓」 墓の引き継ぎ手いなくても安心

高級石「万成石」を使った永代供養墓。石彫家の和泉正敏さんがデザインした=千葉県船橋市の昭和浄苑

 墓の広告などで目にする「永代供養墓」という言葉。「自分が死んだ後、墓の面倒を見る人がいない」といった人の増加を背景に生まれた供養の形を指す。お盆を迎え、供養や弔いについて考える機会が増えるシーズン。永代供養墓の現状をリポートする。

値段は安め

 永代供養墓の最大の特徴は、「継承を前提にしていない墓」である点だ。一般的に墓は、引き継ぐ人がいなければ「無縁墓」となってしまう。しかし、永代供養墓の場合は、子孫に代わって寺や霊園が責任を持って継続的に供養や管理をしてくれる仕組みになっている。

 「子供がいない」「子供に負担をかけたくない」といった人の増加を背景に昭和60年、比叡山延暦寺大霊園(大津市)に「久遠墓」の名前で登場したのが始まりといわれている。その後、新潟市の「安穏廟」、東京都豊島区の「もやいの碑」がメディアなどで話題となり、注目されるようになった。現在では公営の霊園も含めて、全国に1千カ所以上の永代供養墓があるとみられている。とりわけこの10年ほどは増加が顕著だ。

 納骨の方法や形状はさまざまだ。一般の墓のように永続的に個人の専有スペースに遺骨が納められるものもあれば、一定の期間(三十三回忌を区切りにするところが多い)が過ぎたのちにほかの遺骨と一緒に納められるもの、最初からほかの遺骨と一緒に納められるものもある。

 屋外に塔のような形で建てられているものもあれば、納骨堂のように屋内に祭られるものもある。また、夫婦や家族といった複数の遺骨が入る空間が確保されているものもある。

 ほかの人と一緒に納めることでスペースを節約できるため、値段は比較的安めだ。一般的な墓の建立費用は200万円前後が多いとされるのに対して、全日本墓園協会の調べでは、永代供養墓の場合は50万円~100万円未満がボリュームゾーン。お手ごろ感がある。

霊園倒産のリスクも

 選ぶ際には注意も必要だ。ほかの人の遺骨と一緒に納められる場合には、納骨後に遺族や縁者が遺骨を取り戻そうとしても、それができないことが多い。墓の面倒を見てくれる子供がいないからといって単純に永代供養墓を選ぶのではなく、兄弟姉妹、親戚などの理解を得ておくことが大切になりそう。

 また、生前に縁のない他人と同じ墓に入ることに強い抵抗感を持つ人がいるのも事実だ。

 永続的な供養がされるといっても、それが文字通り「永遠」や「永久」を保証するものではないことも頭に入れておきたい。霊園の倒産や、寺が廃寺となってしまうリスクもある。

 少子化によって、今後、ますます墓の継承者が少なくなることは人口統計上確実だ。さらに、継承者がいても「墓のことで負担をかけたくない」と考える人も増えており、永代供養墓は今後ますます増えていくことが予想される。あの世で安心して眠るためにも、選ぶ際には、永代供養墓の仕組みを学んで、自分の足で複数の墓を見て回るといった努力が必要となりそうだ。(『終活読本ソナエ』2015年夏号に詳細を掲載)

■永代供養墓の特徴

 □子孫がいなくても寺や霊園が管理してくれる

 □寺や霊園がある限り、無縁墓・無縁仏となることがない

 □追加料金が発生しない

 □ほかの遺骨と合葬されるので値段が安価

 □合葬されたあとに、特定の遺骨を取り出すことができない

 □合葬されると、特定の人の供養ができない

 □屋内施設では、線香などの使用が制限されることがある

 □宗派不問のところも多いが、寺による供養は宗派色が付く

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