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携帯を切って、小説家の時間に 芥川賞に決まって…羽田圭介さん

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携帯を切って、小説家の時間に 芥川賞に決まって…羽田圭介さん

第153回芥川賞に決まった羽田圭介さん =16日夜、東京・内幸町の帝国ホテル (鴨川一也撮影)

 芥川賞受賞の決定という事実が自分の身辺に及ぼす影響を、完全になめていた。

 受賞後4日目の今日(20日)も、電話着信やメール、SNSのメッセージ受信や友だち申請を知らせる携帯電話のバイブが止まらない。買って半年しかたっていない本体の電源ボタンはバカになってしまった。文章を1行も書けない時間が、続いていた。

 携帯電話の電源をオフにしようにも、急ぎで答えなければいけない数々の用件に備えそれもかなわなかった。しかし新聞各紙から依頼されたエッセーの執筆をこなさなければ、小説を書くという本業にとりかかることもできない。鳴りやまない携帯電話の着信音やバイブ。すぐ答えなければならない電話連絡に備えていたものの、意を決し電源をオフにして、本原稿を書き始めた。

 なんとも落ち着く。文章を書くという行為が、こんなにも心地よいものだっただろうか。明治大学付属明治高校在学中だった平成15年に小説家デビューして以来12年間、やっていることは変わらない。人と接することもない地味で孤独なこの文筆稼業を苦痛だと思う瞬間が、毎日おとずれてさえいた。

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