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【編集者のおすすめ】『鬼船の城塞』鳴神響一著 島守る海賊衆の熱き想い

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【編集者のおすすめ】
『鬼船の城塞』鳴神響一著 島守る海賊衆の熱き想い

「鬼船の城塞」

 将軍吉宗の治世。「鬼と呼ばれようと、俺には守らねばならぬものがある」-小笠原諸島を守ることに命を懸け、仲間との絆深く信念を貫いた海賊たちは、本書の中で現代にも通じる熱き生きざまを見せてくれています。

 主人公は鉄砲玉薬奉行・鏑木信之介。将軍より焔硝(えんしょう)探索の命を受け、伊豆諸島をめぐっている最中に、阿蘭党と名乗る海賊衆に襲われ乗組員をみな殺しにされてしまいます。阿蘭党に剣の腕を認められた信之介だけは、心ならずも一命を救われ捕虜にされますが、彼は乗組員を助けられなかった悔しさを断ち切れず、阿蘭党への敵意を抱き続けていました。そんな中、ある日突如現れたスペイン軍艦による侵略に、阿蘭党海賊衆と共に立ち向かっていくことで、少しずつ信之介の心に変化が現れていきます。

 日本とスペインとの死闘が繰り広げられる中で、日本を守ることに生きがいを感じ、生を全うすることを誓う信之介と、ある思惑を抱え日本と対峙(たいじ)するスペイン側の通訳と名乗る謎の武士。熱烈なフラメンコファンでスペインの歴史にも精通している著者は、両国の企図とその背景に隠された陰謀を濃(こま)やかに描き切りました。

 臨場感あふれる海戦の場面など、全てが事実なのではと思わされるほどリアリティー満載、迫力満点で、めくる手を休ませないエンタメ海賊小説。男たちが何を想い、戦いを諦めなかったのか-彼らの血がたぎる激しい生きざまに、心を躍らせてください。(角川春樹事務所・1600円+税)

 角川春樹事務所書籍編集部・寺内梨奈

 

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