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古典の「宝」再発見 震災経て響く世界観 「共作」源氏物語、新訳も続々

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古典の「宝」再発見 震災経て響く世界観 「共作」源氏物語、新訳も続々

日本文学の古典の新たな現代語訳や古典に材を取った小説などが相次いで刊行されている

 日本の古典文学の富を見つめ直す動きが広がっている。千年以上前の『源氏物語』を下敷きに壮大な小説が紡がれ、現役作家が『古事記』などの現代語訳に挑む。はるかな時を隔てた言葉と物語に作家らは何を感じ取るのか。(海老沢類)

千年の時を体感

 「『源氏物語』をリスペクトした上で、作者の紫式部には見えていなかった世界を紡ぐ。口調も全く変えて、自分にしか書けないダイナミックな小説にしたかった」。作家、古川日出男さん(48)の新刊『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)は、「胸を借りるつもりで」平安時代の源氏物語に材をとった長編小説だ。

 源氏物語54帖のうち光源氏の没後を描く「宇治十帖」には別人の作との説がある。『女たち-』は改竄(かいざん)された贋(にせ)の宇治十帖が流布していることに憤る紫式部の怨霊が、真の物語を語り直すという設定だ。瀬戸内の海賊や奥州の武士らの物語も展開し、舞台は紫式部が描かない宮廷の外側へと大胆に飛び出す。

 野心的な試みの背景には故郷の福島県を襲った東日本大震災がある。

 「震災前に考えた作品がアクチュアルに感じられない。千年に1度の地震が起きたのだから、千年という時間を体感してみようと」。千年前を意識して原稿用紙約880枚を慣れない手書きで通した。

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