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【中高生のための国民の憲法講座】第93講 錯綜する9条解釈と安保法制 奥村文男先生

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【中高生のための国民の憲法講座】
第93講 錯綜する9条解釈と安保法制 奥村文男先生

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 ◆厳しい制約

 しかし、自衛隊法95条は正当防衛などの場合以外は人に危害を与えてはならないという制約があります。そのため、日米の艦船の距離が相当離れている場合には、95条の適用は困難ではないかと思われます。(2)(3)では、他国の「武力行使」との一体化を防ぐための枠組みを設定することが条件となっているため、後方支援を行う活動地域が現に戦闘が行われている現場になれば、支援を即座に中断しなければなりません。その結果、相手国の信頼を失うことは明白でしょう。

 (4)は、平成26年7月1日、集団的自衛権の解釈変更の閣議決定を受けて、今回の合意内容に採用されたものです。集団的自衛権発動は、わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃により、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が、根底から覆される明白な危険がある場合を条件としていますので、あまりにも制約が厳しすぎて集団的自衛権を行使することは現実的には極めて限られたものになります。

 (5)の邦人救出の場合は、その地域に主権の及ぶ受入国の同意を要件にしているために、そうでない地域で邦人が拉致された場合(イスラム国のようなケース)には、救出はできないということになります。以上検討しましたように、今回の安保法制案でも、自衛隊には国際水準から見ても相当厳しい制約が課されています。

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