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【中高生のための国民の憲法講座第92講】憲法9条を読んで湧く疑問 奥村文男先生 

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【中高生のための国民の憲法講座第92講】
憲法9条を読んで湧く疑問 奥村文男先生 

 (3)丙説 この説は「前項の目的」とは「国際紛争を解決する手段として」の戦争等を放棄するものだと限定的に解し、自衛戦争や制裁戦争は禁止していないとするものです。現在の政府見解や一部学説の採る説です。砂川事件最高裁大法廷判決(昭和34年12月16日)は、「憲法の平和主義は決して無防備・無抵抗を定めたものではない。平和と安全を維持するために、必要な自衛措置をとりうる」と述べ、自衛戦争を肯定しています。

 (2)戦力の意味について

 乙説に立てば、戦力とは「国家防衛のための人的物的組織体」と解しますから、この立場からは、自衛隊は違憲ということになります。丙説からは、自衛のための戦力保持は認められるということになります(丙の1説)が、政府見解は何度か変更がありましたが現在は、戦力の保持は認められないが、自衛のための必要最小限度の実力の保持は認められるとするものです(丙の2説)。この説からは、現状の自衛隊は合憲ということになります。

 司法判断は分かれており、長沼事件札幌地裁判決(昭和48年9月7日)は、自衛隊は戦力に該当し違憲と判断しましたが、百里基地事件水戸地裁判決(昭和52年2月17日)は、実質的に自衛隊合憲の判断を下しています。最高裁は砂川事件の判決で「9条2項が自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」と述べ、判断を保留しています。

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