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【中高生のための国民の憲法講座 第89講】シリア渡航計画に旅券返納命令…海外渡航の自由は無制限か

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【中高生のための国民の憲法講座 第89講】
シリア渡航計画に旅券返納命令…海外渡航の自由は無制限か

 少し前の話になりますが、イスラム過激派組織IS(「イスラム国」)による日本人人質事件がありました。シリアへの渡航計画を表明していたカメラマンに対し、外務省が旅券の返納を命じる問題も起きました。

 今回は、憲法で保障される海外渡航の自由と公共の福祉による制限の問題について考えてみます。

海外渡航の自由

 一般に、海外渡航(旅行)の自由は憲法22条によって保障されています。22条2項は「外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」と規定していることから、住所を外国に設定するため国外に移ることを意味する「移住」には、一時的に海外に渡航(旅行)することも含まれると解されています。

 一見すると、このような海外渡航の自由には公共の福祉による制限がなく、法的には規制できないように思われます。

 私たちが海外旅行をしようとする場合には、まず有効な旅券(パスポート)を所持し、この旅券に入国審査官から出国の証印を受ける必要があります。この旅券の発給、効力や返納などの事項を定める法律として旅券法があります。

 ただ、この旅券法には、外務大臣が旅券の発給を拒否できる(あるいは返納を命ずる)場合として次のような事由が列挙されています。たとえば、(1)「外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」の場合には旅券の発給を拒否できるし返納を命ずることもできる(13条1項7号、19条1項)。

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