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【くらしナビ】「緊張汗」と上手につきあう工夫 塩化アルミニウム配合の製剤で抑制

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「緊張汗」と上手につきあう工夫 塩化アルミニウム配合の製剤で抑制

「緊張汗」発汗のメカニズム

 入学式や入社式が終わって、いよいよ新しい生活がスタート-。春は緊張する場面が多く、暖かい日は汗ばむほどだが、実は緊張したときと暑いときは、同じ汗でも発汗のメカニズムが違うという。「手に汗にぎる」「冷や汗をかく」など慣用句にもなっている緊張汗(精神性発汗)について、専門家に対策をきいた。(牛田久美)

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 ◆別の“スイッチ”

 「緊張したときの汗は、暑さの汗と違ってメカニズムがあまり解明されていません。だから、対策が注目されるようになったのは、最近のことなんですよ」

 そう前置きして、緊張汗について説明するのは、東京都立大塚病院皮膚科の藤本智子医師(38)。多汗症など発汗異常が専門で、わきの下などで大量に汗が出る「原発性局所多汗症」の大規模な疫学調査を、日本で初めて行った経験がある。

 調査対象は全国20施設の5~64歳の5807人。精神性発汗の有病率は13%で欧米より高く、大半は20代前半までに発症する。生活に支障をきたしても受診率は6%と低かった。

 藤本医師によると、発汗のメカニズムはこうだ。

 気温が上がると、体温調節のため脳が「汗を出して」と指令を出す。体温上昇に応じて全身のエクリン腺からゆっくり発汗する。これはみんなが持っている発汗の“スイッチ”だ。

 ところが、緊張汗が多い人は「おそらく別のスイッチがあって、そのスイッチが入りやすいと考えられている」。わきの下や手のひらなど限られた部位のエクリン腺から急激に発汗し、わきの下はアポクリン腺からも発汗するという。

 「働く汗腺の数も多い。ふつう10個中2個のところ、汗が多い人は6~7個の汗腺から汗が出ている。数年以内には、治療薬も増えることでしょう」

 ◆身体への影響なし

 多く出ても体に悪影響はない汗。けれども、困っている人たちのために、汗の専門外来では、塩化アルミニウムを直接ぬる処方などで対応しているという。

 「ここ数年、市販品でも塩化アルミニウムを含んだ製剤が出てきました」。スティックやクリームカプセルなど、直接ぬる制汗剤で、緊張汗や暑い日のわきの汗を抑える。

 「成分が皮膚にくっつくと汗の穴がふさがって、汗が出てこなくなる。かぶれない限り、何回ぬってもかまいません」。外出前は汗で流れるため、眠る前や起床時などにぬり、継続することが大切という。

 汗は無臭だが、時間がたつと雑菌などでにおいのもとにもなる。わきは日中洗えず、着替えも何度もできないと悩みは深刻だ。診察室には、長時間ホームに立つ駅員やチェーンレストラン店員など制服で働く人、アパレル販売員など、あらゆる業種の人が来院。汗を気にして希望する職業をあきらめた人もいるという。

 小学生のころから汗に悩み、引っ込み思案や、閉じこもりがちになったりする人も。本人は気づかれないよう努力し、周囲の人は分からない。クールビズの普及で、わきの汗を隠せないと悩む人も増えている。

 藤本医師は「市販剤などを利用して上手に汗とつきあうと同時に、周りの人も、多汗は感染したり人に迷惑をかけたりする症状ではないので、おおらかに受け止めてほしい」と呼びかけている。

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