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【解答乱麻】人口減社会で不安拭う施策を ジャーナリスト・細川珠生

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【解答乱麻】
人口減社会で不安拭う施策を ジャーナリスト・細川珠生

 まるでスイカを入れてコントをしているかのようなおなかを抱えた臨月。新しい命の誕生が、これほどまでに“みんなの”喜びであることに、驚きすら感じたものである。重い荷物を持ってもらったり、席を譲ってもらったり…。

 赤ちゃんは、こうして歓迎され、生まれてくるのだと、出産・育児の不安の中に大きな励みと周囲の深い愛情をひしひしと感じた。いつかわが子に、どれだけ多くの人に楽しみにされて生まれてきたかということを、話し聞かせたいと思ったものだ。

 ところがわが子との対面を果たした出産以降、母親への周囲の態度は一変する。空腹、排泄(はいせつ)など、あまりに小刻みな赤ちゃんの欲求に、昼夜問わず十分な睡眠など取れるわけもなく、体力は消耗する一方。それでも周囲から掛けられる言葉は「お母さんなんだから」。

 「みんなそうやって育ててきたのよ」と、励まそうと思って掛けてくれた言葉ですら、ありがたく受け止められない。「疲れた」という一言も、言えない、言ってはいけないと思いつめる日々。

 職業柄、産休も育休もないため、出産直後も原稿の執筆や自分のラジオ番組の出演もあった。脳梗塞を患い介護が必要になっていた父をサポートするという一仕事もあり、全面的に親に頼っての育児には程遠かった。30代半ばの夫は、最も多忙を極める時期。もちろん、その中で協力してくれる人や、この状況を理解してくれる仕事仲間には、一生を通じて恩返ししたいと思うほどだし、では、子供がいない方がよかったのかといえば、それは絶対にないと思っている。ただ、確実に言えることは、子供は「1人で精いっぱい」だったということである。

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