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【正論】研究者育成に欠如している理念 シカゴ大学医学部 内科・外科教授 中村祐輔

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【正論】
研究者育成に欠如している理念 シカゴ大学医学部 内科・外科教授 中村祐輔

 昨年、生命科学分野での最大の話題はSTAP細胞に関するものであった。STAP現象そのものは幻想に終わり、事件が終結したかのようである。しかし、なぜチェック機能が働かなかったのか、誰がES細胞とすり替えたのかなど、未解明の部分も多い。

 ≪若手研究者が行き場失う≫

 メディアは派手な事件として取り上げたが、背景として若手科学者育成に関する課題をもっと深く切り込んで考えることが大切である。本稿では大学研究室での研究教育体制の問題と、過剰となったポスドク(博士研究員)の不安定な環境に焦点を当て若手研究者育成の課題を考えてみたい。

 本論に入る前に、理化学研究所の対応について、少しだけコメントしたい。理研の調査委員長は、記者会見終了後に、わざわざ会場に引き返し、「科学的な検証を監視カメラ下で行うのは不条理である」と付け加えた。しかし細胞のすり替えが行われた可能性が高く、明らかに科学の範疇(はんちゅう)を超えた犯罪行為に相当し、科学的な検証とは異次元のものである。

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