産経ニュース

【木村貴志の解答乱麻】まず大人が読書の意義を心から深く理解せよ 本との出会いを

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【木村貴志の解答乱麻】
まず大人が読書の意義を心から深く理解せよ 本との出会いを

 今年の「歌会始の儀」のお題は「本」であった。今、子供から大人まで読書量が低下している。教育に携わる者の一人として、何とかしなければならないテーマだ。「読書をする」というたった一つの習慣を子供たちにしっかりと手渡せたら、未来の若者たちの姿は大きく変わる。

 16歳以上の男女を対象にした平成25年度「国語に関する世論調査」(文化庁)では、1カ月に1冊も本を読まない人の割合は、14年度37・6%、20年度46・1%、25年度47・5%と次第に増えている。また読書量が減っていると回答した人は65・1%だ。理由としては「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」との回答が51・3%と最も多く、「情報機器で時間が取られる」「テレビの方が魅力的」という回答も多い。

 本には様々(さまざま)なジャンルがある。特に文学作品を読むことで、私たちは様々な喜びや悲しみが世の中にあることを知る。そして、他者への心遣いを学ぶ。作家の井上靖は少年時代、『母を恋うる記』(谷崎潤一郎)や『トロッコ』(芥川龍之介)に描かれた少年の悲しみや寂しさを、自分のこととして感じ取り、「大げさな言い方だが、私はこのふたつの作品によって人生を発出させられた」とし、「幼少年時代の読書はたいせつである。繊細無比な感光板が受け取る感銘は一生涯消えない」と書き残している。私たちが、自分自身の心と人生を豊かなものにするためには良き文学作品との出会いが不可欠なのだ。

「ライフ」のランキング