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【中高生のための国民の憲法講座】第74講 国家非常事態の法制整備は? 浜谷英博先生

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【中高生のための国民の憲法講座】
第74講 国家非常事態の法制整備は? 浜谷英博先生

国家の非常事態における法制整備の課題について考えてみましょう

 ところが日本国憲法に国の独立や国民の安全を図るための根拠規定を欠いていたため、過去に有事法制の論議があったにもかかわらず立ち消えになり、実際に具体的議論が始まったのは21世紀に入ってからでした。

 国民保護法ができたが…

 2001年に発生した米中枢同時テロを契機に、北朝鮮の核開発やミサイル発射事案などによって国民の脅威認識も高まり、国家緊急事態における法制整備が急がれました。その結果、平成15(2003)年には武力攻撃事態対処法が、そしてそれを親法として16年に国民保護法が制定されたのです。前者は主に自衛隊の防衛出動を想定した外部からの武力攻撃を規定しつつ、旧来型の戦争以上に現実化している大規模テロを含む緊急対処事態をも想定しています。

 それに対し国民保護法は、緊急事態から国民の生命・財産を保護し、国民生活に及ぼす影響を最小化するため、国、地方公共団体の責務、国民の協力および住民の避難・救援措置などを定めたものです。同法では、国民の権利保護や社会的弱者への配慮など特徴的な規定も見られますが、国民の協力の義務化や住民共助組織の整備などが明記されていないなど、運用上の実効性に疑問符が付く内容もあります。

 産経新聞「国民の憲法」要綱では、緊急事態が発生した場合には緊急事態の宣言(114条)をすることができ、その時は国民の権利を一部制限する規定(115条2項)も盛り込まれました。事態対処の実効性を担保する上で重要な規定です。

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