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【赤字のお仕事】「抜け目ない」って褒め言葉なの?

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【赤字のお仕事】
「抜け目ない」って褒め言葉なの?

 辞書をみると、『三省堂国語辞典』(第7版)には、《抜け目(が)ない (ずるがしこく/手抜かりなく)立ち回るようす》、『新明解国語辞典』(第7版)は、《【抜け目が無い】(自分の利益になることに)よく気が付いて、手落ちなく、やる様子だ》とあり、両辞書とも、カッコの中に「ずるがしこく」「自分の利益になることに」などと示して、否定的なニュアンスを含ませています。

 ただ、『日本国語大辞典』(第2版)を見ると、《ぬけめない【抜目無】手ぬかりがない。また、自己の利益になる機会を逃さない》とあります。2番目に「自己の利益になる機会を逃さない」と、「ずるがしこい」語義を記していますが、1番目の説明にある「手ぬかりがない」なら、肯定的な解釈で使ってもよい気がしてきます。

 「抜け目」という言葉は、単独では「油断」や「手抜かり」「気の配り方の足りない部分」という意味です。それに「ない」が付いているのだから、「手抜かりのない」「油断のない」という解釈が生まれてきたのでしょうか。

 ただ、「抜け目ない」という言葉には、自分の利益のために行動するという狡猾(こうかつ)なイメージが思い浮かぶというのが、従来、大方の人や辞書が取ってきた解釈です。褒めたつもりが、とんだ誤解を生むことにもなりかねません。

 この「抜け目ない」という言葉の例でもわかるように、言葉本来の意味を知っていても、コミュニケーションをとる相手が自分と違う意味で使ったら、意思疎通がうまくいかないことになります。

 心配りができ、準備おさおさ怠りないような尊敬する人には、くれぐれも「抜け目なく」…いや、この場合は「抜かりなく」辞書を調べて、正しく意思が伝わるようにしたいものですね。(時)

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