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【中高生のための国民の憲法講座】第72講 条約に違憲の疑いが生じたとき 浜谷英博先生

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【中高生のための国民の憲法講座】
第72講 条約に違憲の疑いが生じたとき 浜谷英博先生

 最も条約の対外的効力を尊重する説は、条約自体を違憲審査の対象とは認めず、条約を実施する国内法令についても無効とするには慎重であるべき、とします。

 確かに条約が国家間や国家と国際機関間の合意であれば、国際協調主義をうたった憲法の下、国内の司法判断のみで無効にするのは国際理解を得られません。しかし憲法違反の疑義を放置したまま、条約が国内法的効果を持ち続けることも不合理です。

裁判の限界も

 過去に、旧日米安保条約の違憲性が争われた砂川事件判決で最高裁判所は、日米安保条約が「違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、したがって、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査の範囲外のもの」である、としました。加えて最高裁判所は、当該条約が高度の政治性を帯びていることに鑑み、司法判断を回避する統治行為論を採用しました。司法裁判制度の限界を自ら指摘したとも言えるでしょう。

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