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【中高生のための国民の憲法講座】第70講 浜谷英博先生 国際法と憲法の関係を考える

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【中高生のための国民の憲法講座】
第70講 浜谷英博先生 国際法と憲法の関係を考える

◆条約優位か憲法優位か

 まず現行憲法制定直後に多数説だったのが条約優位説です。主たる主張は、憲法前文の国際協調主義から導かれる国際法の遵守姿勢です。つまり憲法81条で条約を司法審査の対象外に置き、同98条1項で憲法の最高法規性を示し、それに反する法律その他の無効を明記しながら条約を除外していること、などです。その上で98条2項が改めて条約の誠実な遵守義務を明記していることからも、現行憲法の立法趣旨は明らかだとするのです。

 次は憲法優位説で、現在の多数説です。現行憲法の制定後しばらくして日本を取り巻く国際情勢は一変しました。朝鮮動乱の勃発や対外関係の不透明性などから、条約を憲法よりも優位させることに一種の危機感を覚え始めたのです。

 国際的普遍性とは無縁の条約までが憲法に優位するとなれば、国内における憲法の最高法規性との整合性や硬性憲法の本質からも不合理だったからです。他にも、法の効力は制定改廃手続きの軽重に比例する原則の下での憲法と条約の比較、81条の条約の除外は自国の裁判結果が他国を拘束しないとの意味にすぎないこと、98条1項は国内法上の最高法規性規定であり条約が除外されて当然であること、加えて条約を締結する公務員が憲法遵守義務を負っていること、などが主張されています。

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