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善意の寄贈本に苦慮する図書館 何が本当に必要か考えて

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善意の寄贈本に苦慮する図書館 何が本当に必要か考えて

書庫に入りきらず、段ボール箱に収めて積み上げられた寄贈本や中古本=兵庫県宝塚市の市立中央図書館

 森田館長は「寄贈本からは、思い入れのある本を捨てるのは忍びない、という本を愛する人たちの思いを感じます。ただこれほど量が多くては」と困惑している。

◆手間もコストも

 立命館大学文学部の常世田(とこよだ)良教授(図書館情報学)によると、同様の悩みを抱える図書館は少なくないという。「図書館で実際に活用できるのは1~2割程度しかない。職員はほかにやるべき仕事も多く、その労力も大変」

 コストもかかる。図書館の蔵書にする場合、本の表面にフィルムコーティングを施し、登録番号やバーコードのラベルを貼るなどの作業が必要だ。またタイトルや出版社、ページ数、分類などを記した目録データを合わせて購入することもあり、蔵書にするには、1冊あたり150~200円かかるという。常世田教授は、「新刊はそうした“装備”が施された上で専門業者から購入している。それに比べて寄贈本は図書館の負担が大きい」と指摘する。

◆無料で提供

 活用できない寄贈本をめぐっては、図書館ごとに対策をとっている。

 大阪市立中央図書館(同市西区)。窓口で寄贈本を受けとる際、すでに所蔵する文学全集や辞典など、活用が見込めない本の受け取りは断るようにしている。

 その上で活用できなかった寄贈本などは、館内に「リサイクル本コーナー」を設けて無料で提供。市民には好評で、毎朝約50冊並べると、夕方にはほとんど無くなる。今年度は約2万冊のリサイクルが見込めるという。

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