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【編集者のおすすめ】『皇后美智子さま 全御歌』秦澄美枝釈

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【編集者のおすすめ】
『皇后美智子さま 全御歌』秦澄美枝釈

『皇后美智子さま 全御歌』秦澄美枝釈(新潮社・2500円+税)

あたかも昭和・平成の王朝絵巻

 ご成婚から今日まで、美智子さまは55年間にわたって、たくさんの御歌を詠まれてきました。本書はその公表された全御歌438首を一冊に収録した歌集です。

 美智子さまの御歌は実に多彩で、さまざまなお立場から視点を変えて三十一文字を紡いでいらっしゃいます。皇后様として大君をたたえ、御国母様として民を想(おも)い、先人に想いをはせ、旅に憩い、花鳥を愛(め)で…中でも最も強く惹(ひ)かれたのはご家族、それも母として吾子を詠まれた御歌でした。こんな御歌があります。

 《含む乳の真白きにごり溢(あふ)れいづ子の紅の唇生きて》

 浩宮さまご誕生の喜びを詠まれた御歌ですが、そこには皇太子妃というお立場など関係のない、一人の母としての熱い想いが、まさに“溢れ出る”ように綴(つづ)られています。

 主要な御歌140首あまりを選んで、国文学者の秦澄美枝さんが評釈しています。その御歌がどんな状況で詠まれたものなのか。「古今集」以来の和歌の伝統の中で「歌詞(うたことば)」をキーワードに美智子さまの御歌はどのように位置づけられるのかを、わかりやすく解説します。美智子さまの御歌を誰よりも敬し、愛する秦さんの頭の中には、すべての御歌が瞬時に検索できるデータベースとしてしっかりと保存されているようでした。

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