産経ニュース

【中高生のための国民の憲法講座】第62講 石田榮仁郎先生 国会議員の定数削減を考える

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【中高生のための国民の憲法講座】
第62講 石田榮仁郎先生 国会議員の定数削減を考える

国会議員はどのくらいいるか知っていますか

 ◆日米の国会議員数は?

 みなさん、日本の国会議員の数がアメリカの国会議員(連邦議会議員)よりも現在187人も多いことをご存じですか?

 アメリカの国会議員(各州の小選挙区から選ばれる下院議員435人と各州から2人選ばれる上院議員100人)は、上、下両院議員合わせて535人です。

 これに対し、わが国の国会議員の数は衆、参両院で現在722人です。

 衆院議員は小選挙区選出議員300人と、全国を11のブロックに分けた比例代表選出議員180人の計480人。参院議員は各都道府県を単位とする選挙区選出議員146人と、日本全国を1つの選挙区とする比例代表選出議員96人の計242人です。

 さらに驚くことには、衆議院で中選挙区制(1つの選挙区から平均3~5人を選出)の時代には、最も多かったときは512人の衆院議員と参院議員252人を合わせるとなんと国会議員の数が764人にも達していました。

 国会議員の定数については、日本国憲法第43条2項で「両議院の議員の定数は、法律でこれを定める」と規定していますので、国会議員の定数を改正するには、憲法の改正を必要とはせず、法律の改正で済みます。すなわち現在の公職選挙法第4条1項・2項に定める議員の定数を大幅に削減する公職選挙法の改正法案を国会(衆議院と参議院)で通過させればよいだけなのです。

 衆院はこの度の公選法改正で、次回総選挙から小選挙区の定数を5議席(すずめの涙)だけ減らしましたがさらに身を切る改革が必要です。(最もドラスチックな方法は、憲法を改正して現在の2院制から1院制にするという考え方もあるのですが、これら具体案については次回以降の講座に譲ります)

 ◆国会の責務果たせ

 私たち国民に対しては、消費税を5%から8%に値上げして、国民には血を流させ(まさに血税)、痛みを感じさせながら、自分たち国会議員は全く血を流さない、「痛みを感じるのはいやだ!」では、筋が通らないのではないでしょうか。

 いやむしろ、国会議員が率先して血を流し、痛みを感じてから、すなわち国会議員の定数を大幅に削減してから、国民に対し「消費税を値上げした分は社会保障等の目的税として使用するので、ぜひともみなさまにはいくばくかの痛みを感じていただきたく思います」と訴えるのが筋ではないかと考えます。

 私たちは、少子高齢化が抱える諸問題、今後の社会保障制度のあり方に対しては危惧の念を抱くとともに、その対策、方法に対して理解がないわけではありません。ただ、それを国民に対してだけ負担を全面的に負わせることに対し些(いささ)か納得できないのではないでしょうか。

 アメリカに比べて、国会議員が187人も多いという事実を直視するにつけ、議員定数の大幅削減は、急務の課題といえましょう。

 国会議員1人に要する費用は多大です。その費用を災害支援・インフラ整備等他に回す箇所はいくらでもあります。

 与野党に関係なく、主権者を直接代表している「国民の代表機関」、「唯一の立法機関」、そして何よりも「国権の最高機関」として、身を切る責任を国会自ら果たすことを、国民は切に望んでいるのではないでしょうか。

【プロフィル】石田榮仁郎

 いしだ・ひでじろう 早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業、同大学院政治学研究科憲法専修博士課程修了。近畿大学法学部教授・法学部長を経て現在近畿大学名誉教授。虎ノ門法律経済事務所弁護士。専攻は憲法・比較憲法。日本法政学会名誉理事・比較憲法学会副理事長・憲法学会常任理事。著書、論文多数。

「ライフ」のランキング