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【美の扉】佐藤時啓展 「光-呼吸 そこにいる、そこにいない」

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【美の扉】
佐藤時啓展 「光-呼吸 そこにいる、そこにいない」

 佐藤さんも、最初は「光を使った彫刻のようなイメージだった」と振り返る。でも、次第に意識が変わっていったそうだ。「自然の中ではコントロールできないところもあって、『作る』という積極的な感じではなくなった。もっと受け身の立場で、できるだけ抽象的なものになればいいなと思ってやっています」

 制作における受動的な態度は、ピンホールカメラによる作品にも引き継がれている。原始的な機材は、その構造上、なにか特定のものに焦点を合わせたり、厳密に構図を決めたりすることはできない。「自ら撮るというより、勝手に写ってしまう。写ったものを受け入れる。それが重要なんです」と佐藤さん。「収穫を待つ」というニュアンスで「Gleaning Lights」(拾い集めた光)と題されている。

 といっても、単純な作品ではない。一般的なピンホールカメラは穴が1つだけれど、佐藤さんはカメラに複数の穴を開けて、撮影時間や方向を変えつつ撮影し、ひとつの画面に複数の時空を写しこむ。たとえば日の出と日没。あるいは高層ビルを見上げるシーンとビルから俯瞰(ふかん)する風景。24個のピンホールカメラで視野360度に挑んだ実験的作品も並ぶ。

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