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【美の扉】佐藤時啓展 「光-呼吸 そこにいる、そこにいない」

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【美の扉】
佐藤時啓展 「光-呼吸 そこにいる、そこにいない」

 ■封じ込められた「時の厚み」

 「写真は、ある瞬間を写し止める科学技術として発展しましたけれど、撮り方によっては『時間の厚み』みたいなものが写るんですね。それが面白いと思うんですよ」

 佐藤時啓さんは、スローシャッター(長時間露光)による幻想的な風景写真や光学レンズを使わないピンホール(針穴)カメラで撮影した独創的な作品で知られる。初期のものから最新作までを通覧できる大規模な個展が、東京都写真美術館で開かれている。

 まずは代表作「光-呼吸」シリーズから。画面に不思議な光線や光点が浮かんでいるけれど、あとで付け加えたわけじゃない。濃いサングラスのような減光フィルターを使って露光する時間を引き延ばす。シャッターを開けている時間は、昼で約1時間、夜だと2時間にもなるという。じわじわと露光をする間に、ペンライトや手鏡など発光体を持ってカメラの前を歩きまわる。そうすると、移動し続ける自分の姿は写らず、強い光源だけが白く画面に残る。

 インスタント写真を使ったカラー作品の「Polaroid Works」も同じ技法で制作された。写真でありながら、絵画や彫刻に近いように感じられるのは、制作者の身体性が(まるで筆さばきのように)画面に反映され、見る側もそれをたどることができるからだろう。

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