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【解答乱麻】教育に生かしたい「敬う」力 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
教育に生かしたい「敬う」力 バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 東京五輪誘致のプレゼンで話題になった「おもてなし」という言葉だが、「もてなし」を辞書で引くと、「ごちそう。取り扱い。対応」などとしか書かれていない。私たち日本人にとっては、「おもてなし」の「お」という接頭語のニュアンスや言外の意味こそが重要だ。それは、状況を判断し、相手が求めていることを、視線や表情やしぐさから読み取る「察する力」と、相手を敬い相手の心に寄り添った対応を大切にする「敬愛の心」の2つを要とする。それが世界でも希有(けう)な素晴らしいホスピタリティを可能にしている。

 しかし、教育という側面から考えると、この「察する力」には注意すべき点が多い。第一に、論理的に話をする力を育まない原因となり得ることだ。察してもらう言語環境下では、意思疎通で主体と客体を明らかにすることも、自分の意志を筋道立てて明確に伝えることも不要だ。例えば、子供が「ミルク!」と言えば、お母さんは冷蔵庫に行き、牛乳を取り出し、コップに牛乳を注いで、「はい、どうぞ」と出してあげる。この光景は、愛情に溢(あふ)れ微笑(ほほえ)ましいが、子供の側に伝える努力はない。最近の若者が単語でしか話せないといわれる原因の一つとして、親や祖父母が過度に察する言語環境もあるのではないか。単語で話す日常から論理的思考力は育まれない。

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