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「大阪万博-20世紀が夢見た21世紀」 編著者・平野暁臣さん 志や気概は取り戻せる

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「大阪万博-20世紀が夢見た21世紀」 編著者・平野暁臣さん 志や気概は取り戻せる

 大阪万博といわれて思い出すものはなんだろう。世代ごとに違いそうだけれど、1970(昭和45)年のあのとき、日本人が夢見た「未来」にいま、私たちは生きている。いったい何が達成され、何が失われたのか。万博という巨大プロジェクトを通じて時代と社会を論考する「大阪万博-20世紀が夢見た21世紀」(小学館)が刊行された。編著者の平野暁臣さん(55)は「二度と同じことはできないけれど、高い志や気概は取り戻せるはず」と熱く語る。

 安易なジャンル分けを許さない書物だ。図像が豊富なビジュアル本で、万博史についての研究書で、アートや社会を論じる批評集で、データが豊富で資料価値も高い。いろいろに楽しめるが、読みどころの一つは万博の「テーマ性」をめぐる人間ドラマだろう。

 「最後は科学技術万歳ってイケイケな感じになっちゃったけれど、じつは大阪万博は『テーマ』から始まった。理念が必要だということで、考え得る最高のメンバーを集めて徹底的に議論した。最初は哲学から入ったんですね」

 平野さんは、そう話す。〈人類は直面する不調和といかにして対峙(たいじ)し、乗り越えていくか〉。そんな抽象的なことを、知性を総動員して論じたのが、万博前夜の日本だった。多くの人は、大阪万博を科学技術の祭典として記憶しているはずだが、平野さんの文章は、かかわった人々の知性や精神のありように迫っていく。その象徴として岡本太郎がプロデュースしたテーマ館の意味を読み解く。

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