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【書評】『暮らす旅 京都 京のろおじ』暮らす旅舎編

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【書評】
『暮らす旅 京都 京のろおじ』暮らす旅舎編

 ■土地の人が普段に通う店

 二十余年前、女性雑誌で京都の美味(おい)しい食材を特集した。ある老舗味噌(みそ)店に取材を申し込んだら断られた。少量生産のため、雑誌を見て買いに来られても対応できず、常連客に迷惑がかかるとのことだった。結局大きな味噌屋を取材掲載することにした。

 ある料理店には、ほかの雑誌に掲載された途端、予約の電話が鳴り続け、仕事にならないという理由で取材を断られたこともある。こうした理由もあり、料理店の特集では新しい店か、編集者御用達の老舗が登場することになる。

 雑誌やガイドブック、さらにはテレビ番組にも京都の情報は溢(あふ)れてはいるが、その内容には制作サイドの裏事情が常にあるのだ。

 ではどうすれば旨(うま)くてリーズナブルな店や、美味しい食材にたどり着けるのか。

 口コミに勝るものはない。しかし京都に友人がいない人はどうすればいいのか。

 ここに紹介した『暮らす旅 京都 京のろおじ』に登場する骨董(こっとう)屋さんの話に、その解答へのヒントがある。

 月一(つきいち)で東京から通ってくる常連客の目的のひとつは情報収集だという。地元の人が多く訪れるその店は、京都の最先端の事情通でもあるのだ。

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