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【解答乱麻】生きた言葉と行動を磨く バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
生きた言葉と行動を磨く バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 わが国は火山列島であり、私たちの祖先の歴史は、火山の噴火や地震、さらには台風や津波などの自然災害との戦いの歴史でもあった。同時に、水と緑に溢(あふ)れる国土の海・山・川から、豊かな自然の恵みをいただき、深い感謝の念を抱いた。そこから生まれたのは、「自然を神として畏れ敬う」精神性だった。自然の美しさ、恵み、そして破壊力と恐ろしさは人智を超えたものであり、感謝と畏怖の対象として敬う以外になかった。科学技術の力で人間は確かに大きなエネルギーとコンピューターという頭脳を手に入れたが、未だに地震の予測も台風の制御も不可能だ。科学技術への過信が「自然を畏れ敬う気持ち」を失わせ、「文化の継承」を軽視させ、「言葉」を貶(おとし)めてきたのではあるまいか。

 昨今、食品偽装を巡る問題が喧(かまびす)しい。芝海老がバナメイエビであったとか、手こねハンバーグが手こねではなかったとか。しかし、それ以前に、糠(ぬか)漬けや沢庵(たくあん)をはじめとする漬物の多くは、もはや野菜の化学調味液漬けに過ぎず、レモン幾個分のビタミンC入りと謳(うた)った飲み物に入っているのはアスコルビン酸でしかなく、コーヒーフレッシュはミルクでなく乳化させた油でしかない。私たちの言葉と実体とはズレているのだ。それは悪意ゆえのものではなく、本来高価な物を安価に楽しんでもらおう、長期に保存できるようにしようという善意からのものも多い。

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