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【解答乱麻】バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 今求められる稚心を去る教育

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【解答乱麻】
バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 今求められる稚心を去る教育

 国際社会で、日本の若者は幼稚だといわれている。政治、経済、芸術、歴史、国家、人生などさまざまな領域において自分の考えを持たず、自分の意見を述べられないからだ。グローバルな時代を生きていく上で、これは日本人の大きな弱点となる。その原因は多くの子供たちが、成人するまで、「正解のある学び」と「同調圧力」の中で時を過ごし続けるからだ。

 子供たちが朝から夕方まで一日の大半を過ごす学校では、小学校から高校まで知識習得の学習が中心だ。膨大な量の読書や実体験を前提とした本格的な口述や論述といった、深い思考力・表現力を要求される学びはほとんどない。つまり、自分の考えをアウトプット(話す・書く)することを目的としたインプット(聴く・読む)ではなく、知識のインプット自体が目的になっているのだ。

 放課後や休日の部活動では、体を鍛え、チームワークや目標管理などを学ぶことはできるが、多くの場合、個々の思考を深める時間にはなっていない。その後の時間帯では、学習塾に行って知識習得の学習をさらに強化するか、習い事をする。それが終わり帰宅すれば、学校や塾の宿題に追われ、息抜きにはゲームやインターネットやSNSやテレビ視聴に時間を費やす。それが日本の多くの子供たちの一日の過ごし方だ。

 これでは物事を深く考え、知的議論を戦わせ、新しい価値を生み出し、心から自分の思いや信念を発信できる人間は育たない。グローバル時代を迎え「魅力ある個」を確立することが喫緊の課題だが、人生の基盤を作る大切な時期の教育環境が、このような構造になっているのは誠に残念なことだ。

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