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【解答乱麻】バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 道徳教育の真の難しさを考える

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【解答乱麻】
バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 道徳教育の真の難しさを考える

 人間教育の実践は、知識伝達の教育とは異なり難しい側面を持つ。理由は3つある。1つ、自分が本当に心の底から思ったことでなければ、人の心には響かない。2つ、どんなに素晴らしい教材でも、それを語る側の人間観・教育観が浅薄(せんぱく)であれば、そこで行われる教育は浅薄になってしまう。3つ、どんなに良いことを語っても、自分の行いと乖離(かいり)していればそれは偽善だとたちどころに見抜かれる。私たち大人が本気で教育や社会をより良いものにすると希求するのならば、一人一人が、「如何(いか)に教えるか」でなく、「如何に学ぶか」「如何に行動するか」に真剣になるしかない。それが教育の本質と思う。

 子供たちに、良き道徳観を持ち、道徳的規範を大切にした生き方をしてほしいと本気で願うのならば、まず大人が道徳的な生き方をせざるを得まい。だが、本当にそれは実現可能か。何が道徳的に正しいか、状況によっては異なる。正しいとされる2つの道徳律が、時に対立する場合もある。人間は矛盾に満ちており、そこに道徳教育の難しさがある。大人ができぬことを子供にだけ要求すれば、不道徳の誹(そし)りを免れまい。

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