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【解答乱麻】バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 いま求められる「学び方」の変革

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【解答乱麻】
バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志 いま求められる「学び方」の変革

 多くの経営者の方々とともに寺子屋での教育を実践していて痛感することは、「正解のない問題にどう向き合うか」を学んでほしいということだ。実社会に出れば私たちは、「未知の正解のない問題に対して、複数の解決法を考え、その一つを選択して実行する」ことが求められる。仕事においても人生においても、自分の判断力と決断力を持つことが大切だ。個人の問題として考えれば、「志を立てる」ということもその一つだ。「なぜ生まれてきたのか」「なぜ生きるのか」に正解などない。「自分が何にチャレンジしたいのか」「自分の適性はどこにあるのか」「自分に不足している力をどう補うのか」といった問いと向き合い、考え抜き、意思決定し、行動したことが答えとなるだけだ。

 子供や若者たちにそうした「考える学び」ができていないことは、一人一人にパブリックスピーキングをさせてみれば一目瞭然だ。雑談や他人の意見に批判をすることは簡単でも、自分の意見や考えを人前で語るのは大変だ。経験と信念がなければ言葉は力を持たない。話す場に立たされて初めて人は、自分の中に語るべきものがあまりにも乏しいことに気づき愕然(がくぜん)とする。しかし、その「気づき」こそが、人生を主体的に生きるための学びの始まりとなる。

 「話す力」を身につけるには、暗記して答えられる問題や、一つの正解しかない問題を解く形式ではない学びと訓練が必要だ。また、話すことには、信念、志、熱意、感動、正直、誠実、思いやり、謙虚さ、気配り、ユーモア等々、人間性そのものが反映される。だからごまかしがきかない。自分の考えを持たず、借り物の言葉で話しても人の心には響かない。原稿に頼れば、それは聴衆ではなく紙切れに向かって話すにすぎず、原稿を丸暗記すれば、それは自分の記憶と対話しているにすぎない。目の前の聴衆を尊重しない話など、相手の胸に届くはずもない。

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