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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

新チームに加入したその日から、琢磨はインディ500に向けた準備をはじめる。天王山と見定めていた第6戦インディ500は5月28日に決勝日を迎えた。このレースは4番グリッドからスタート、一時17番手まで順位を落としたものの、その後はジワジワと巻き返し、200周のレースの178周目に2番手に浮上した。そして、首位を走っていたエリオ・カストロネベスと壮絶なトップ争いを演じた末に、ついに念願のインディ500制覇を成し遂げたのである。

「勝った瞬間は、ヘルメットのなかで言葉にならない言葉を叫んでいました。それは究極の歓喜という喜びと、これまで僕をサポートしてくれた人たちへの感謝の気持ちがひとつになったものでした。鈴鹿ではじめてF1グランプリを見てから30年。それまでのすべての感情が一気に爆発したようなもので、言ってみれば赤ちゃんがこの世に生を受けてありったけの力で泣き出すのと同じだったのかもしれません」

琢磨は「すべてが完璧だったから勝てた」とも語る。「マシンのセットアップは良好で、7回のピットストップに致命的なミスはなく、マシンにトラブルも起きなかったしアクシデントにも巻き込まれなかった。そして流れも良かった」

そうはいうものの、実はスタート直前にマシンの一部にトラブルの兆候があった。しかし、部品を交換する余裕がなかったため、琢磨とチームは祈るような思いでレースを走り続けた。それだけではない。決勝後の車検でマシンを分解したところ、フロア部分に大量の燃料漏れが明らかになったという。だから、たとえ火災にならなくとも、燃料不足からレースを走りきれなくなる可能性は十分にあったのだ。

ウィナーはスピードウェイが選ぶ

それでも優勝できたのは、勝利の女神が微笑んでくれたからだと琢磨は信じている。「自分たちができることはすべてやりきった。それでも勝てないことがあるのがレースというもの。インディアナポリスにはこんな言葉があります。『ウィナーはスピードウェイが選ぶ』。僕たちはスピードウェイに選ばれて、勝利を掴んだのです。何より嬉しかったのは、過去3度インディ500を制したカストロネベスと最終ラップまでバトルをした末に打ち勝ったこと。レース戦略で勝利をたぐり寄せたのではなく、力と力のぶつかり合いで栄冠を掴み取ったことにものすごい達成感を覚えました。強敵のカストロネベスが最後までフェアに戦ってくれたことにも感謝しています。本当に、すべてが完璧にひとつになった勝利だったと思います」。

インディ500制覇の影響

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