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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

もう10月だというのに、肌を刺すような強い陽射しが照りつけている。世界に名だたる高速コーナーの”130R”。この日、鈴鹿サーキットのコースサイドで、佐藤琢磨はフォトグラファーのマチェイが向けるレンズと対峙していた。

「次はゆっくりこっちに歩いてきて。そう! 素晴らしい。じゃあ、今度は途中で後ろを振り返って!」。琢磨が「視線は?」と英語で問い返す。「レンズを見ていて!」。はた目から見ていても、ふたりの共同作業がスムーズに運んでいることがわかる。

佐藤琢磨氏 佐藤琢磨氏

「琢磨はまるで俳優だね」。マチェイが興奮した様子で私に語りかけてきた。「僕の意図を即座に、完璧に理解してくれる。とてもやりやすいよ」。彼が十分な手応えを掴んだことは、その笑顔が力強く物語っていた。

鈴鹿サーキット-。琢磨にとって、すべてのはじまりはここにあった。「1987年、僕はまだ10歳でしたが、鈴鹿ではじめて開催されたF1グランプリに父に連れてきてもらって、最終コーナーからレースを観戦していました」

F1マシンが目の前を走りすぎる迫力に、10歳の琢磨はうちのめされた。

「新幹線とか飛行機とか、速いスピードで動く乗り物はそれまでにも見たことがありましたが、F1マシンはとにかく加速がすさまじい。なにしろ、少し手前のシケインではまだ60km/hくらいなのに、僕の目の前にきたときにはもう200km/hを軽く超えている。しかも、ドライバーのギアチェンジと、それが音となって自分のところまで届くタイミングがズレている。つまり、加速が速すぎて音を置き去りにしていたんです。衝撃を受けました」

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